ふりだしに戻る

50代からのリフォームで女子力アップ工務店のみどりんです。

台風、小回りしてくれて、上陸免れてよかったです。
また、元のところに返っていくような進路で、
出直して勢力つけようと思ってるみたい。

昔からのお世話になっているお客様から、お電話がありました。
「ちょっと相談したいことがありますが、来てもらえんでしょうか?」
そのお客様は90歳前の男性で、奥様に5年前に先立たれた方です。
お家にお伺いすると、リビングに通されました。
いろんな種類のランの鉢植えがいっぱい置いてあります。
「ワシの趣味でしてな・・・。
 実は、この歳になっていろいろ考えるんですがな、
 この歳になっても、地震では死にたないなと思いよってな。
 阪神の地震で倒れんかったけど、家もあちこち弱っているやろし、
 最後の金で家を丈夫にしときたいんだな。」
「耐震補強ですね。
 兵庫県で補助金がありますし、西宮市も少し補助してくれますし、
 計画していきましょうか?」
「よろしゅうに頼みます」

床下に潜って、屋根裏に入って、一日かけて、耐震診断しました。
持ち帰って、図面を作って構造計算して・・・
お客様の現状の診断は0.38。倒壊する危険があります。
という判定でした。
耐震補強したら、600万円掛かります。
結果を持って行って、お客様の承諾を得て、
補助金申請の提出をしました。
受付審査が完了したら工事です。

が、お客様から連絡がありました。
「子どもたちにこの工事の話をしたんですわ。
 そうしましたら、猛反対されましてね。
 親父が死んだら、どうせこの家は潰して4人の子どもが財産分与することになるのに、
 今さら、いらん金掛けて、余計に潰しにくい家にするなんて。
 倍、もったいないと、言いよるんです。
 それもそうやなぁ思いましてな。
 補強はやめとこう思います。」
いろいろと、動き回りましたが、ふりだしに戻りました。
「地震が先か、寿命が先か、ですな。
 いろいろお世話になりましたな」
なんか、虚しい気持ちでした。
何かしてあげらないかと、考えて
「2階を全部取ってしまって、減築しませんか?
 先に2階を解体しちゃうんです。
 補強しなくても、耐震性は上がります。」
「いやいや。
 子どもたちが帰って来たとき、
 部屋が無くなるのは困るから、
 このままにしておきましょう」
いくつになっても、子を思う親なんだなぁと思いました。